シャドーイングとは

“英語を聞きながらそれを真似して発声しながらついていく”という通訳訓練です。聞こえてくる英語を影のように追いかけていく=shadowingというわけです。

通訳技術の鍛錬という意味だけでなく、リスニング能力を鍛える上でも様々な効果がある練習ですが、ここで取り上げるのは主に次の2つです。

シャドーイングの効き目その1 ネイティブ英語を音で覚える

ネイティブ英語を聞き、しかも自分もしゃべりながらついていくシャドーイングは、かなり集中力が必要です。でも、集中して聞きながら、一語一句違わず自分でも発声することにより、ネイティブが発音する英単語1つ1つを意識し、音で覚えていくことにつながるのです。

“音で覚える”とは?

日本人のノンネイティブの英語学習者は、本当に語彙力が豊富で、難しい単語を沢山知っています。でも実際にネイティブの話す早い英語を聞いていると・・・

”thatなんて本当に言ってた?”

”Appleなんてどこに入ってたの!?”

“知ってる単語のはずなのに、とてもそうは聞こえない・・・”

・・・ということもありますよね。

知識では知っていても、音で覚えていないと、実践的な技術としてのリスニング能力にはなっていきません。

しかも困るのは、同じ単語でもネイティブ英語の発音は様々ということ。短く言うことも、長く言うこともあります。そこで何十人分ものネイティブ・スピーカーのthisをシャドーイングし、音で覚えて耳に体にthisを叩き込んで下さい。その後は、他のmillions of peopleの千差万別のthisを聞きとれるようになるはずです。

シャドーイングでは1つ1つの単語を意識して聞く必要があります。この練習をしっかり行うことで、リエゾンありまくりのスピーディーなネイティブ英語を聞いても、1つ1つの単語をセパレートして認識し、正確に理解する力を鍛えることにつながります。

シャドーイングの効き目その2 ネイティブ英語のアクセント・リズム・イントネーションを身につける

ノンネイティブの英語スピーキングの問題の1つが、”日本語みたいな英語”だということ。インドの人の英語はヒンズー語に聞こえ、中国の人の英語は中国語に聞こえる、と思うことありませんか(勿論上手な人は上手だけど)?日本人が話す英語も、イントネーション、アクセント、リズムが日本語のままだと、日本語に聞こえて、伝わりにくい英語になります。

“Rの発音が苦手なの・・・”とか

“Sの発音が得意でさ・・・”とか

そういう問題よりも、皆様の話す英語が通じるか通じないかを左右するのが、イントネーション、アクセント、リズムと言ってもよいほどです。

シャドーイングでは、ネイティブ英語を字面だけでなくイントネーションに至るまで忠実に再現することを目指します。それでネイティブならではのリズム、発音や音の強弱をも身につけることになり、もっともっと伝わりやすいスピーキング能力につながるのです。

シャドーイングの効果的なやり方

諸説ありますが、リスニング日和では一般の英語学習上級者むけに次のような手順をオススメしています。

①First Shadowing 

スクリプトは見ないで腕試し。英語音声を再生。聞こえてきた音をしっかり声を出して正確に発音する。”しっかり声を出す”が重要です。腕試しですから、できる範囲で音声についていけばよいです。

②Transcript Check

英文スクリプトを見ながら英語音声を聞き、内容を確認してください。

③Trial Shadowing & Performance Check

内容を分かった上で、スクリプトは見ないで再度シャドーイング。自分の声を録音し、しっかり発音できているか、抜けている音はないか、聞きとれていない箇所はないか、確認する。スクリプトと照らし合わせ、チェックする。

④Training Shadowing

③で正確に発音できなかった部分を再度練習する。必要ならスクリプトを見ながらシャドーイングして、最終的にスクリプトを見ないでもネイティブ英語の音声にしっかりついていけるまで練習する。自分の声を録音して、ネイティブ英語をコピーできているか自然な英語を話せているか確かめる。

⑤Final Shadowing 

仕上げのシャドーイング。英語音声を再生し、スクリプトは見ないでシャドーイングする。録音した自分のパフォーマンスを再生しチェックする。

シャドーイングの効果を確実に得るために、守っていただきたい掟があります。

★しっかり発声::日常会話程度の音量を出す。

★リズムやイントネーションまで確実に再現::ものまねさながらに!

★一語一句正確に発音::’s, of, to等小さな音も確実に再現する。

それと、もうひとつ。とてもシンプルなことなのに、多くの英語学習者が怠っていて、ネイティブ感覚のリスニング能力を身につけられずにいることがあります。

ネイティブのリスニング感覚を習得するために守るべき掟

ネイティブの英語を体で覚えて自分のものとするためには、同じ素材を何度も繰り返して練習することが必要です。3日~1週間は、同じ素材を反復練習して下さい。最終日には楽勝で⑤まで終了するはずです。

毎日続けるには、無理のない分量に制限することも必要です。1分の音声素材なら、20秒ずつ3回に分けるなどしても構いません。通訳学校の生徒さんなら、大量にやってもらいますが、一般の英語学習者の場合、無理なく楽しくなければ勉強は続きませんからね。(勿論、大量にやりたい方はどうぞどうぞ!)

リスニング日和でリスニング習慣、頑張ってください!